第27回

さて、問題19。

これも自然由来盛土に関する問題です。

一体、この調査を実施する調査屋さんがどれくらいいるのか?疑問ですが、出題者がこの手の話が大好きなんですかね?

 

 自然由来盛土の調査に関しては、法施行規則第10条の2第2項以降になります。

 法施行規則第10条の2第3項第2号で「汚染状態が均一であるとみなすことができる場合」については、「一つの30m格子内にあるいずれかの自然由来盛土等に係る単位区画」での採取で良いと規定されています。

 そして、一の均一な汚染状態にある土地とは、法施行規則期の第3の1.(7)②イに、以下のように定義されています。

 

 この時点で選択肢Aは正、選択肢Cは誤と分かります。一の均一な汚染状態とは、酒類や濃度の分布の偏在性が無いことと、自然由来盛土等に係る土壌を掘削した土地が1か所のみというのが前提となりますので。

 この時点でAを含みCを含まずの選択肢は(1)のみとなりますので、正答は(1)となります。

 選択肢Dについては、法施行規則第10条の2第4項において、既知の調査結果(基準不適合)がある場合、その結果を以て土壌汚染状況調査の調査結果の全部又は一部としなければならないとありますので、改めて既知の調査結果のある単位区画が30m格子の中心にない場合でも、改めて試料採取等を実施する必要はありません。確か、自然由来汚染調査でも平面範囲の絞り込みができるようになって、でも、自然由来の場合、評価は30m格子ごとなので、この既知の調査結果は、そのまま当該30m格子の評価になると思います。

 そして、選択肢Bについては、自然由来盛土等の「位置」についてですが、この法律で「位置」というと、平面範囲の位置ではなく、深さ方向を意味しているので、このBに書かれていることは妥当かなと思います。

第26回

 今回からは自然由来汚染調査に入ります。

 なんか、出題者が大好きなんですかねえ、自然由来。第18問~第21問まで、実に4題もあります。それほど大事な調査だとは思わないんですが。

 で、初回の第18問からかなりの難題にぶつかってしまいました。

 私の感覚では正答がありません。

 まずは、自然由来調査に係る条文を見てみましょう。

 法施行規則第3条第6項で、自然由来の汚染のおそれがある場合は法施行規則第10条の2の調査方法で調査しなさいと規定されています。まずは、ここがスタート。

 そして、第10条の2を見ていくと、まず、第4条第1項、第5条に定める方法により「土壌汚染状況調査の対象地」を区画することとあります。

 土壌汚染状況調査の対象地と調査対象地の定義の違いはちゃんとおさえておかないと駄目な所で、土壌汚染状況調査の対象地とは、法施行規則第1条第2項第3号て定義されている土壌汚染状況調査の対象となる土地のことで、具体的には、法第3条第1項を契機とした調査では、工場・事業場の敷地の範囲、法第3条第8項や法第4条第3項や法第5条の命令を契機とした調査では命令書(又は添その付書類)示された土地の範囲となります。

 それに対し、調査対象地とは自然由来汚染調査、水面埋立て土砂由来調査、人為等由来汚染調査、それぞれの調査に係る土地のことを、それぞれの該当する条項の中で「調査対象地」と呼んでいます。

 自然由来に関する条文を読んでみると、土壌汚染状況調査の対象地のうち、(法施行規則)第3条第6項第1号に該当する土地をこの条文の中で「調査対象地」と定義しています。

 つまり、まず土壌汚染状況調査の対象地があって、その中で地歴調査の結果により自然由来、水面埋立て土砂由来、人為等由来の調査対象地があるということになります。

 そして、区画に関しては法施行規則第4条、第5条と同じ方法で「土壌汚染状況調査の対象地」を区画すると規定されていますので、起点に関しては、確実に土壌汚染状況調査の対象地の最北端となるわけで、これは自然由来、水面埋立て土砂由来、人為等由来で共通とならなければなりません。

 ここで、問題を見てみると、Cは確実に誤りということが確定します。

 よって、正答は(1)~(3)に絞られます。

 そして、ここで確実な所をもう一つ。深さの限定です。

 法施行規則第10条の2第1項第2号で、試料採取等区画の選定に係る規定がありますが、問題の前提が法第4条第3項契機で、規則第10条の2第1項第3号で、「最大形質変更深さより1mを超える深さにのみ汚染のおそれがあると認められる地層の位置があるときには、当該単位区画について試料採取等の対象としないことができる」とありますので、選択肢Dにあるような自然由来の汚染のおそれのある地層が5m以深で、最大形質変更深さが2.5mである単位区画については試料採取の対象外とすることが出来ます。問題では、調査対象地の全てが2.5mの掘削と読めますので、これは正しい。

 ということで、この時点で正答は(2)となります。

 Aについては、選択肢Dと同じく、自然由来汚染調査の対象地を設定したうえで、やっぱり10m以内に対象となる地層は無かったってのもアリかなと思ったので、この選択肢も間違いではないのでしょうが、実際に掘ってみて「無かった」ということを確認するのも大事かなと。

 Bについては、条文から文面のようなことが読み取れないので、私には理解できませんでした。

 まあ、確実な所で選択肢は絞り込めるので、どちらかを知っていれば五択を三択、二択に絞り込めますね。

第25回

 久しぶりの記事投稿。少しつまらない仕事に引っかかっていて、生きるモチベーションを下げておりましたw

 いやあ、今やっている仕事は、キャリアの中で自分にとっての汚点になるでしょうね。

 それぐらいつまらない仕事です。

 今やっている仕事が決定打となって、多分、引退を公に表明することになろうかと思います。

 これからの記事投稿は、モチベーションと、モチベーションのある時にどこまで記事を貯めておけるかにかかっていますw

 さて、土壌汚染調査技術管理者試験。今回からは、自然由来等汚染調査、埋立て土砂由来汚染調査になります。

 まず、令和3年第17問。埋立て土砂由来汚染調査に係る問題です。

 法施行規則では、水面埋立て土砂由来調査に関しては、第10条の3、自然由来汚染調査に関しては第10条の2に規定されています。

 条文の順番で言うと自然由来汚染調査の方が先なんですが、その辺はあまり気にしていないみたいですね。

 さて、問題の方は、水面埋立て土砂由来調査の試料採取深さについて。

 これに関しては法施行規則第10条の3第1項第3号に規定されています。

 問題については、水面埋立て土砂の深さがはっきりしていますので、第3号ロのケースです。

 ちなみにイに関しては、

(1)表層(0~5㎝)の土壌(第二種、第三種特定有害物質については表層と5~50cmまでの土壌)

(2)深さ1m~10m迄の1mごとの土壌(帯水層の底面が10m以内にある場合は除く)

(3)帯水層の底面(10m以内)

という規定で、ロは水面埋立て土砂内にある(1)~(3)までの土壌ということです。

 問題の図を見れば、2.25~7.65m迄が水面埋立て土砂です。ということは、その範囲で帯水層の底面が無い場合には余計なことは考えず、条文どおり深さ3m、4m、5m、6m、7mの土壌を採取することとなります。

よって正答は(3)

 水面埋立て土砂由来の調査については、試料採取地点や帯水層の底面のバリエーションで、結構、問題が作れそうな気がします。

 法施行規則第10条の3は、それほど長い条文ではないので一読されることをお勧めします。

第24回

 さてこの問題、

 結果の評価に関する問題というよりは、基準を知っているかどうかの問題みたいですね。

 鉛及びその化合物の場合、

 

  土壌溶出量基準:0.01mg/Lを超えないこと

  第二溶出量基準:0.3mg/Lを超えないこと。

 

 この「超えないこと」ってのが味噌で、測定値が0.01mg/Lであるならば土壌溶出量基準適合で、0.30mg/Lならば、土壌溶出量基準に不適合であるものの第二溶出量基準には適合ということです。

 問題を見ると、赤□で囲った地点が第二溶出量基準不適合(Dは試料採取の省略があるので)、青□で囲った地点が土壌溶出量基準に適合する地点になります。問題の土壌溶出量基準不適合(第二溶出量基準適合)と評価できるのはBとE。

 よって、正答は(4)。

 

 全ての問題がこれぐらい説明が楽だといいですね。

第23回

 土壌汚染状況調査結果の評価に係る問題、今回は土壌汚染状況調査の過程を一部省略した場合の評価です。

  まず、土壌ガス調査で特定有害物質が検出した場合の調査は問題16でやりました。検出範囲の代表地点でのボーリング調査ですよね。その時の試料採取等対象物質について、その時詳しく触れませんでしたので、ここで触れておきます。法施行規則第8条です。

 基本は土壌ガスから検出された特定有害物質。(第1項第1号)

 次に、第1号の規定で対象とした検出された特定有害物質が使用等特定物質の場合で、かつ、分解生成物がある場合、その分解生成物(第1項第2号)

 さらに、検出された特定有害物質が使用等特定有害物質の分解生成物であった場合当該使用等特定有害物質(いわゆる親物質)とその分解生成物全て(第1号で対象とした物質を除く/第1項第3号)

 みんな大好き分解生成物は、法施行規則別表第一に。

 上表の左側が上欄、右側が下欄です。このうち、四塩化炭素→ジクロロメタン平成31年施行の改正法から入ってきました。本当は平成22年施行の改正法に入れたかったみたいなのですが、約10年越しの悲願達成でしょうかw

 ちなみに四塩化炭素→ジクロロメタンの中間生成物であるクロロホルムについての取り扱いは、多分、ここで触れたんじゃなかったっけ?

take48.hatenadiary.org

 

 問題を見ると、問題の書き方(トリクロロエチレンとその分解生成物であるという書き方になっているので)から使用等特定有害物質はトリクロロエチレン。その分解生成物である1,2-ジクロロエチレンが検出されたということで、

 

 1,2-ジクロロエチレン(第1号)

 

 そして、その1,2-ジクロロエチレンの親物質かつ使用等特定有害物質であるトリクロロエチレン(第3号)。並びにその分解生成物で第1号の規定で試料採取等対象物質にした1,2-ジクロロエチレン以外の分解生成物1,1-ジクロロエチレン、クロロエチレンが試料採取等対象物質になります(第3号)。

 で、省略時の評価に係る条文は非常に書き方がややこしいのですが、原則、一番厳しい評価となるということです。

 ということで、本来、トリクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、クロロエチレンを試料採取等対象物質にしてボーリング調査をしなければならないのを、省略してしまったということで、これらの試料採取等対象物質について「第二溶出量基準不適合」となります。この場合、検出範囲がすべてこの評価となります。

 よって、正答は(5)

第22回

 さて今回は問題17から水面埋立て土砂由来調査、自然由来調査に入るので、少し飛ばして人為等由来調査に関する問題を先にやっちゃいます。

 午前問題22、これは土壌汚染状況調査のうち、第一種特定有害物質に係る調査の評価に係る問題です。

 この辺も、関係する条文を見ていきましょう。

 法施行規則第9条第1項、第2項です。

 検出範囲の区域で、少なくとも1つの代表地点において第二溶出量基準不適合であれば、当該検出範囲の区域の評価は「第二溶出量基準不適合」となります(法施行規則第9条第1項第2号)。なお、全ての代表地点で第二溶出量基準に適合していたものの、少なくとも1つの代表地点で土壌溶出量基準不適合が確認されたら、当該検出範囲の区域の評価は「土壌溶出量基準不適合」となります(法施行規則第9条第1項第1号)。

 全ての代表地点で土壌溶出量基準に適合(ということは第二溶出量基準にも当然適合している)していた場合は、当該検出範囲は、法施行規則9条第1項1号、2号に該当しない(基準適合)という評価になります。

 法施行規則第9条第2項は、検出範囲の代表地点で第二溶出量基準又は溶出量基準不適合が確認されたとしてもボーリング調査を行った単位区画についてはその結果どおりの評価にしましょうという、至極当たり前のことを規定した条文です。

 つまり、検出範囲の地点(代表地点に限らず)でボーリング調査を行い、土壌溶出量基準(当然、第二溶出量基準にも)適合が確認されれば、その調査を行った地点を含む単位区画については基準適合と見なせる訳です。

 さてここで地味に重要な意味を持っているのが「検出範囲」という言葉で、法施行規則第8条第1項で、

【検出範囲】

土壌ガス調査において気体から試料採取等対象物質が検出された試料採取地点があるとき、又は地下水から検出された試料採取等対象物質が地下水基準に適合しなかった試料採取地点があるときの、当該試料採取地点を含む単位区画が連続する範囲

 

 で、土壌ガスから特定有害物質が検出(又は代替の地下水調査で基準不適合)であった区画が「連続」する範囲っての定義が大事で、こちらについては、平成31年3月1日環水大土発第 1903015 号「土壌汚染対策法の一部を改正する法律による改正後の土壌汚染対策法の施行について」記の第3の1.(6)⑥で、

 

【連続するとは】

 「単位区画が連続する範囲」とは、単位区画の4辺及び4頂点のいずれかが他の単位区画と接していることをもって連続しているものとし、「連続する他の単位区画」とは、単位区画の周囲にある最大8つの単位区画のことを指すものとする。

 

 と説明されており、これが単位区画の統合なんかで出てくる「隣接」との違いなんですよねえ。赤●を付けたような点で接していたら「連続」なんですよね。

 問題の図を見ると、土壌ガスから特定有害物質が検出された区画は全て1つの検出範囲となります。検出範囲内に代表地点と見なせる地点が4つある設定なんですよね。

 少なくとも1つの代表地点で第二溶出量基準不適合が確認されているので、これは法第9条第1項第2号に該当するので、検出範囲について、まずは、第二溶出量基準不適合という評価となります。

 ただし、法施行規則第9条第2項第1号の規定により赤□の単位区画については、溶出量基準不適合、第3号の規定により青□の単位区画については、溶出量基準適合となります。

 よって正答は(2)。

 

第21回

さて今回も深さの限定に関する問題です。

これは、土壌ガス調査で特定有害物質が検出された場合(代替の地下水調査で地下水基準不適合であった場合)に行われるボーリング調査時の深さの限定調査。

 

 この辺に係る条文は法施行規則第8条です。

 まず、この「検出範囲」と「代表地点」については平成31年改正法で新設されたもので、それぞれの定義はちゃんと覚えておきましょう。この辺に関しては、後の問題で詳述できることがあると思いま明日。

 この第8条第2項第1号で深さの限定についての規定があります。

 この検出範囲の最大形質変更深さより1mを超える土壌については採取しないことが「できる」とあります。深さの限定に係る条文については全て「できる」であり、MUSTではないのでその辺は注意です。

 問題の図を見れば、検出範囲の最大形質変更深さは赤○をつけた4.0mの単位区画です。

 代表地点(ボーリング調査をする地点)は別の場所ですが、土壌ガス調査に続くボーリング調査では、検出範囲の最大形質変更深さが深さの限定のキーになります。

 ですので、試料採取は最大形質変更深さ4.0m+1.0mで5.0mまでとすることが「できます」。

 よって正答は(5)。