土壌汚染対策法改正議論の備忘録(5)
さて久しぶりに土壌汚染対策法改正議論の備忘録です。これで6回目。
6月30日に開催された第6回土壌制度小委員会。
資料はこちらをご参照下さい。
この日はまず、認定調査の見直しについて議論されました。
認定調査の見直しというと、私もあまりいい思い出が無いのですが・・・
まあ、これに手をつけたらことごとく討ち死にするという印象です。
さて、今回の見直し内容を委員会資料から引っ張って見ると、
- 搬入土壌による汚染のおそれの有無は、認定調査時地歴調査において把握できることから、要措置区域等に搬入された土壌に係る届出を廃止する。
- 要措置区域等に搬入された土壌(盛土・埋土)の汚染の有無を土地所有者等が記録することを義務づけるものとする。
- 土壌の搬入の情報が管理され、認定調査時地歴調査でその情報が把握さえされていれば、現行制度における900m3ごとの試料採取頻度とはなり得ないため、認定調査における900m3ごとの試料採取頻度を廃止する。試料採取頻度は試料採取不要か100m3ごとの2択とする。
- 搬入土(盛土・埋土)の汚染のおそれの評価においては、搬入土壌の分析結果や証明書、搬出元の地歴情報等をもとに判断し、試料採取対象物質を絞ることとする。
- 第二種・第三種特定有害物質においては、認定調査において2深度連続で基準適合を確認され、当該深度以深に汚染のおそれの生じた位置がない場合に、当該深度以深の土壌を試料採取等を行わずに、認定を受けることができるとする。
1.はすごく分かります。年ごとの搬入土の届出については、土地の所有者さんに勧めてもあまりピンとこないようで、私はこの手続きをしたことがありません。
2.については、4.と関係すると思うのですが、この時の搬入土の汚染の有無の確認は、現行平成31年1月29日付環境省告示第6号に準ずるのでしょうか?どこまで搬入土について義務付けるか?そこが注目点ですかね。
3.はちょっと危ういかな。これは搬入土の記録することを前提としているみたいですが、汚染のおそれの分類って、区域指定の理由となった土壌汚染状況調査時の汚染のおそれの分類も認定調査時には忘れちゃいかんと思うのですよね。
土壌汚染状況調査時に一部対象区画に分類された区画が、認定調査時に全部対象区画又は対象外区画に分類できるか?土壌汚染状況調査時から認定調査時に何らかの状況が変わっていないと、なかなか根拠付が難しいのではと思います。
まあ、区域指定対象物質については、実際に土壌汚染状況調査で基準不適合が確認されているのだから、全部対象区画扱いになるのは分かるのですが、土壌汚染譲許調査で試料採取対象物質になっていながら基準適合であった特定有害物質について、そのことを理由に認定調査時に対象外区画又は試料採取等対象物質から外してもいいか?が論点になるかな。
4.についても2深度連続で基準適合が確認されればOKというのは人為等由来汚染だけかなと思いますので・・・
まあ、いつもここで書いていることですが、何かを緩和する場合は、当該緩和によって不利益を被った者に対して、基準を緩和した環境省が「それは不可抗力です」と言えるか?
この場合は、現行制度下の認定調査では汚染が見つかるのに、緩和した認定調査で汚染を見つけられなかった場合、その搬出先の人間が不利益を被ることになります。
その時、その不利益を被った人が「不利益を被ったのは、制度を緩和した環境省の責任だ」と言ってきた場合、環境省が「不可抗力です」と自信を持って言えるか?
(何を隠そう、現委員長が審議会でそんなこと言っていたようなw)
この辺り、かなり精度の高い根拠付がまだまだ必要かなと思います。
さて、このシリーズ、続きがあるのかは微妙なのですが、気力があれば投稿したいと思っていますwww
土壌制度小委員会(第6回)
さて、土壌汚染対策法の改正について議論される土壌制度委員会の第6回目が6月30日に開催されました。
開催情報はマメにチェックしていたのですが、当該ページが6月中旬以降、更新されてなかったようで、自分も不意打ち喰らいましたね。
たまたまスマホのYouTubeからの通知で、あれ、今日委員会やってるわと、途中から慌てて視聴。
相変わらずの音声の悪さで、日本語喋っているのかも聴き取りにくく、たまに、平壌放送かって感じのイントネーションに聞こえました。
まあ再生数を稼ぎたい訳では無いと思うので、視聴者へ対する配慮なんて、ほとんど気にしていないのでしょうね。
それでも130人ぐらいはライブで視聴していました。
開催情報が更新されていないのと、この音声の聴き取り辛さ。
出来れば聞かれたくない議論やってるんですかねw
テープ起こしの議事録読む人もほとんどいないでしょうから。
冗談はさておき委員会資料は↓から。
今回は、
①認定調査
②形質変更時要届出区域の施行方法の基準
③指定調査機関
④汚染土壌処理施設
⑤GX
⑥埋立地特例区域
⑦既往議論議題関連の詳細事項
が話し合われました。
議論の中身は音声悪すぎてほとんど聴き取れませんでしたが、まあ内容的にはK団連の主張に沿って全振りっていう印象でした。
あとCO2云々が聞こえてきましたが、その前に現行の土壌汚染対策法についてもっと勉強してから話し合って欲しいよなあwww
議論の土台を固めていない人が枝葉を語るってのが審議会なんかなあって。
ああ、あと指定調査機関の話では、相変わらず指定調査機関のレベルがあ~ってのが挙がってましたが、まあ自治体の担当も大概ですw
上から目線で指定調査機関にモノが言える資格がある担当はホンの一握りです。
まあ、折に触れてレベルの低い自治体の担当の恥ずかしい話も書いてもいいかな?
と、茶化すのはコレぐらいにして、資料の内容を読んで備忘録を残す必要があれば、引き続き挙げていこうとおもいます。
まだまだある未届工事
ちょっとメジャーになった物件。
中国の業者でしたっけ?森林の無許可伐採。
この場合、町は管轄外なんで、なんの指導も出来なかったでしょうね。
まあ、そもそも届け出義務は、「土壌汚染対策法の一部を改正する法律による改正後の土壌汚染対策法の施行について」(平成31年3月1日 環水大土発第1903015号)、いわゆる施行通知ってやつで、
『当該届出は、届出義務者が自らその義務の発生を自覚し、行うべきものであることはもちろんであるが、都市計画法(昭和43年法律第100号)に基づく開発許可担当部局、宅地造成等規制法(昭和36年法律第191号)に基づく工事許可担当部局等が情報を有している場合があることから、必要に応じ、これらの部局との連携をとり、当該届出義務の履行の確保を図るよう努めることとされたい。』
ものなので、届出義務者が義務の発生を自覚しなければそれまでなんですけどねw
ただ、開発担当部局と連携をとなっていますので、この辺は連携不足というか、縦割りの弊害になるのでしょうか?
ただ、横浜市とか自分が実際に業務をやった自治体の中ではちゃんと横のつながりがしっかりしている所もあります。
ただね、うっかり知らなかったで済まされない場合もあります。
この辺は土壌汚染対策法に罰則規定があって、66条に3か月以内の拘禁刑又は30万円以下の罰金となっています。
直罰規定なので、まあまあ厳しいです。
第六十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
(中略)
二 第四条第一項又は第十二条第一項の規定に違反して、届出をしないで、又は虚偽の届出をして、土地の形質の変更をした者
この4条1項ってのが土地の形質の変更の届出。この場合は3,000平方メートル以上の土地の形質の変更(切土、盛土)する場合に、所管自治体に届出る必要があります。
ちなみに拘禁刑とは、これまでの懲役と禁錮を一本化したものらしくて、今年の6月からそうなっているみたいです。
お金の方も過料ではなくて罰金なので、これ、確か前科の対象になるんじゃなかったっけかなあ?
まあ、よほど悪質でもない限り行政が業者を告発することは無いと思うのですが・・・
無届の工事にはそれなりの代償があるということを覚えておきましょう。
この案件ではあえて中国の業者を色んな法律に従って告発してもいいのかもしれません。他の法律にも色々と違反しているみたいですから。
血祭りにあげていい見せしめですよねww
廃棄物混じりの土壌か土壌が混入した廃棄物か
最近、こんなニュースを見ました。
記事中でキーとなるのは、「市が行った土壌汚染調査で、造船所跡地のすべての土から金属片や焼却残さが検出されたため、県と協議のうえ産業廃棄物として取り扱うことになっていました」でしょうね。
廃棄物として取り扱うと決めたのなら、埋め戻すのはアウトかなと。
これが汚染土壌として取り扱うのであれば、同一の単位区画や区域指定された土地の範囲内なら埋め戻すのは合法。ただし、混じってる廃棄物に関しは、可能な限り分別して取り除く、これが現実的な対応かと。
この、廃棄物混じりの土として取り扱うのか、土の混じった廃棄物として取り扱うのかは、永遠に合理的な決着方法は見つからないのでしょうね。
一番いいのは、土壌汚染対策法、廃掃法の両方の許可を持っている処理施設へ搬出すること。ただ、できるだけ搬出物を抑制したいのであれば、土壌と廃棄物は出来るだけ分別することですね。
この辺は、三豊市さんも認識不足だったと認めているように、法律を所管する行政、この場合は県になるのでしょうか?でなければ、なかなか難しいのかなと思います。
土壌汚染対策法改正議論の備忘録(4)
さてこの備忘録も(4)に入ってきました。
土壌制度小委員会、実質的な検討2回目にしてかなりの大物をぶち込んできたなという印象です。
自然由来土壌汚染のお話です。下表では、番号18の検討項目です。

自分的にはこの議論は飽き飽きしているのですが・・・
結局、この議論こそ「規制緩和、簡素化」のボールを投げたら、「規制強化、複雑化」で返ってくる一丁目一番地の課題ですからw
これ以上は、あまり弄らない方がいいのかなと思っているのですが、この段階で検討項目に挙げてくるということは、それなりにもう制度の青写真と関連条文の改正素案ぐらいは考えているのでしょうかね。
では、どういう方向で検討しているのか・・・

出典:土壌制度小委員会(第5回)資料2 P14
え~っと、このスライドですぐにツッコミたい矛盾が一点。
「『地質的に同質な状態で広く存在する自然由来の汚染である』という趣旨を踏まえた制度に見直してはどうか。」というのに「合理的な調査方法の検討」とあります。
そもそも趣旨を踏まえれば、前回改正時に絞り込み調査を認めたこと自体、同質な状態で広く存在する自然由来の汚染であることを無視した改正でした。
ただし、流石に広大な敷地の両端の調査だけで全て決めちゃうというのが殺生なので、半ば、お上のお情けみたいな感じで絞り込めるようになったかなと思います。
それよりも、ここの記載にあるように自然由来等調査(現規則第10条の2)は残るんだということが明確に宣言されていて良かったですw
従来の区域指定制度から外すっていうことなので、そもそも調査対象から外すこともあるのかなと考えておりました。
それを考えると、自然由来汚染調査を実施したうえで汚染が確認された土地については、
①法第12条の届出の対象外
②自然由来土地に係る条件
⇒自然由来による土壌溶出量基準不適合の場合のみとし、土壌含有量基準不適合
及び第二溶量基準不適合の場合は適用されない
③自然由来土地の搬 時の規制は、現行法の自然由来汚染土壌に係る搬 規制(自然由
来等土壌利用施設へ搬出、区域間移動等)と同様の特例を設けてはどうか
としたうえで、自然由来土地を台帳を調製して管理を行う区域指定によらない方法とするか、新しい区域指定制度による管理とするかは、引き続き検討とされています。
これって、
・自然由来の条件を土壌溶出量基準不適合かつ第二溶出量基準適合とする
・法第12条の届出の対象外とする(としたい)
ぐらいが目新しいことで、自然由来の条件から含有量基準不適合土壌を外したことは、まあ、元々、自然由来の土壌含有量値の目安は、全量分析レベルで下表のとおりですから、特に驚くことではないです。

で、法第12条の届出の対象外とすることは建付け上可能かな?
届出の例外規定を定める規則第50条1項追加するだけで出来るんじゃないかなと、法律の素人の浅はかな知恵なんですが。なんか、それじゃ困難なことでもあるの?
「自然由来土地を台帳を調製して管理を行う区域指定によらない方法とするか、新しい区域指定制度による管理とするか」については、もう現行のままでいいでしょ。
新しい台帳作っても仕方ないでしょwww
自治体が面倒くさくなるだけ。
まあ、今でも自然由来特例区域の場合は土地の形質の変更に係る特典も受けていますが、法第12条の届出の対象外とすることは、土地の所有者側としては一歩前進かな?
ただ、搬出土の規制に関してはね、やっぱり何らか行政が書類取る必要あるでしょ。
なので、やっぱ現行の台帳を維持することの方が合理的だと思います。
と、この第5回の資料を見る限りには、それほどカオスにならなそうで、少し安心しました。
ちなみに第6回が開催されるまでは、この備忘録はお休みですかね。ネタが無いw
飛び地間移動の緩和なんて、よろしくどうぞって感じです。
土壌汚染対策法改正議論の備忘録(3)
さて備忘録の3回目になります。全部で何回かになるのは分かりませんが、メモとして残しておきます。
土壌制度委員会第4回の2の議論。「健康被害に応じた試料採取等調査について」
下表の検討項目の3に該当します。

どういうことかは、第4回資料2に分かり易く図化してくれています。

出典:土壌制度小委員会(第4回)資料2 P12
この資料によると、工場等で土地の形質の変更を施行しようとする場合、従前から工場内の観測井で地下水モニタリングを実施して、地下水汚染が確認されていなければ、試料採取等調査は行わなくていい制度にしたいようです。
この図から見ると、法第4条第1項の手続きフローを想定しているものと推定できます。制度としても、法第4条第1項の届出時の添付書類に、地歴調査(使用履歴等のある特定有害物質の確認のため)と敷地内での地下水モニタリング結果を添付する形になるのでしょうか?
まあ、それはそれで難しくない制度変更だと思います。
ここで、新制度のフローの下の方、搬出する土壌の汚染の有無の確認。
これ、めっちゃ面倒くさくないですか?工事の前に実施するなら普通の土壌汚染状況調査か認定調査の掘削前調査のイメージになるし、掘削後に調査するのであれば認定調査の掘削後調査のイメージになります。
この分析頻度がどうなるか?ってのも、人為等由来汚染調査の汚染のおそれの区分で、土壌汚染のおそれが比較的高い土地からの搬出であるなら100m3に1検体、土壌汚染のおそれが少ない土地からの搬出では900m3に1検体の頻度にしかならないような気がするのですが・・・
それなら対して費用負担は変わらず、むしろ観測井の設置、日常の分析費用がある分、費用的な負担は増えるのでは?と。
土地所有者等にとっては費用の問題よりも工程の問題かな?
こちらの方が融通が利くっていう判断なのかな?
でも、このフローで汚染が確認されればどうなるんだろう?
多分、こういう要望を出すのは土地の所有者等側だと思うんで、「何事も無い」ことを前提に要望しているのかな?
これ、形質の変更に着手する直前や、形質の変更に既に着手している場合なんかは、モロに工程に影響出ますよね。
もしくは、汚染がありました、だから汚染土壌処理施設へ持っていきますって話で済ませるのでしょうか?
搬出時の調査の報告をした上で、搬出の状況を事後報告することを可能にするとしても、報告を受ける自治体、土地の所有者等にとってもあまりメリットが無いような気がします。当然、区域指定の手続きもあるでしょうから、ちゃんと書類は取らないといけませんよね。なんか、書類の種類を増やすだけのような気がしてなりません。
この辺の建付けをちゃんと考えないといけませんよね、というか、もう考えているのでしょう。多分。そう信じたい。
一方、この会で併せて議論された、「ただし書の確認を受けた土地の形質の変更の際の調査報告について」では、現行法第3条第7項の届出、同8項の調査命令の発出を法第4条のような手続きを可能にしようとの方針が示されています。

出典:土壌制度小委員会(第4回)資料2 P12
これは、法第3条第7項の届出を行うということは、原則第8項の調査命令を発出するということなので、自治体においては命令発出の事務手続きの労力が伴います。
この制度変更は自治体の負担を減らすうえではいいかなとも思うのですが、法第3条第8項の調査にしろ、法第4条第3項(又は第2項)の調査にしろ、調査対象となるのは、形質の変更の範囲の中で掘削部分だけです。だから、わざわざ土壌制度小委員会(第4回)資料2 P12のような制度を新たに導入することにあまりメリットは感じません。
むしろ、現行制度である、法第4条第2項の調査報告に絡めて、地歴調査、搬出土がある場合の当該部分の試料採取等調査だけを加える方が、双方、スッキリしていていいのかなとも思えます。
そして、もう一点。この第4回の議論終了後の私の感想を読み返してみると・・・
この記事の内容自体は全く覚えていなかったのですが、この時と同じ感想を持ちました。
この記事でも触れていますが、現在、土壌汚染対策法下の制度では、人の健康被害のおそれの考え方が二通りあると。
一つは法第3条第1項ただし書の際の「当該土地について予定されている利用の方法からみて土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがない旨の都道府県知事の確認」と、もう一つは区域指定される際の「土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準に該当すること」
それに加えて形質の変更を行う際の、「地下水汚染が生じていない」から人の健康リスクが無い。
なんか、3つ目の健康被害に係る考え方を追加するだけの制度変更のような気がして、特に実効性は無さそうな制度変更だなという感想を持ちました。
搬出する土壌がある場合の分析費用的なものや汚染が確認された場合の工程管理の観点からも適用できる範囲が、搬出土壌が発生しない場合などかなり狭いのかなと。
実務者の観点からは、この制度変更第4回の資料2の1の制度変更は、イマイチというのが現時点での私の感想です。


