第28回

さて、令和3年第20問目。

正直、私も法に基づく自然由来汚染調査ってのをやったことが無くて、条文読んで理解はしているつもりになっているだけです。

いわゆるペーパードライバーですね。

自然由来汚染調査のスタンダートな問題です。

スタンダートな調査方法は法施行規則第10条の2第1項に規定されています。

 

 すご~くややこしく見えます。

 まずは、条文は前後するところがありますが、

 

(1)自然由来汚染調査に係る調査対象地を設定(法施行規則第10条の2において調査対象地と定義される)

(2)土壌汚染状況調査の対象地を区画

(3)調査対象地内(土壌汚染状況調査の対象地内と必ずしも一致しないこともある点に注意)にある最も離れた2つの30m格子の中心を含む単位区画を試料採取等区画に設定

(3)当該30m格子内の中心が調査対象地に無い場合は、当該30m格子の調査対象地内にあるいずれかの単位区画を試料採取等区画に設定

(4)調査対象地が広い場合、(3)、(4)を900m格子ごとに試料採取等区画を設定

 

 こんな感じで試料採取等区画を設定します。

 あと、深さの限定とかありますが、ここではややこしくなるのでそこに触れません。

 そして、試料採取等区画とされた単位区画の中心か、単位区画の中心が調査対象地内に無い場合、当該単位区画の調査対象地内にある任意の地点が試料採取地点となります。

 その試料採取地点において自然由来の汚染が存在するおそれがあると認められる地層の位置が不明の場合、法施行規則第10条の2第1項第4号イ(1)、(2)に従い、

 

 (1)表層の土壌及び深さ五センチメートルから五十センチメートルまでの土壌

 (2)深さ一メートルから十メートルまでの一メートルごとの土壌

 

の土壌を採取します。

 自然由来の汚染が存在するおそれがあると認められる地層が明らかな場合は、法施行規則第10条の2第1項第4号ロの規定に従い、当該地層のうち、イ(1)、(2)の土壌の採取を行い、イ(1)、(2)の土壌が当該地層の中に存在しない場合(自然由来の汚染のおそれが認められる地層が極端に薄い場合など)は、当該地層の任意の位置の土壌を採取します。

 さらに、法施行規則第10条の2第6号の規定により、土壌溶出量と土壌含有量を測定することが規定されています。

 これがスタンダートな自然由来汚染調査の方法です。

 前置きが長くなり過ぎました。

 ここで問題を見ておきましょう。

 


 既知の調査結果(基準不適合)がある場合、前問でもやりましたが、規則第10条の2第4項で、調査結果の全部又は一部としなければならない、とあります。

 だから、過去の調査結果を使用するってことじゃなくて、これを法に基づく土壌汚染状況調査の結果としなければならないんですよね。

 そして、法施行規則第10条の2第5項。

 試料採取の結果、基準不適合が見つかれば、調査対象地(900m格子が設定されている場合は当該900m格子内)すべてが、測定の結果、土壌溶出量基準不適合か第二溶出量基準不適合か土壌含有量基準不適合になってしまうんですね。

 この時点で、過去の調査結果により、調査対象地全体が土壌溶出量基準不適合という評価になります。

 ここで気を付けたいのが、選択肢の全ての語尾が「しなければならない」となっていること。そう、こういう既知の調査結果(基準不適合)がある場合に最低限やらなければならないことについてを聞いているのです。

 法施行規則第10条の2第1項第2号では、最も離れた2つの30m格子内の単位区画での試料採取となっていますから、少なくともあと1地点で試料採取をしなければなりません。その地点で土壌溶出量については前述のように評価が決まっているので、土壌含有量の測定だけを行うこととなります。

 よって正答は(5)となります。

 もちろん、この③の調査地点で土壌溶出量基準、土壌含有量基準ともに適合していれば、法施行規則第10条の2第7項の規定により、

 この調査地点を含む30m格子内の調査対象地に係る単位区画全てが基準適合であると評価されます。

 また、続く条文によって、30m格子ごとに汚染の状態を評価できる規定もあります。

 この問題は、あくまで「しなければいけない」調査であり、「してもよい」調査の事を聞いたのではないので、こういうロジックになるという私の解釈です。

 

 ちょっと長くなりましたが、この辺は一気にポイントを追っていった方がいいと思ったので。