第29回

 問題21。これで自然由来汚染調査に係る問題は最後でしょうか?

 こちらは、自然地層の調査と自然由来盛土等の調査に係る深さの限定と絞り込みの話ですね。

 まず、深さの限定については、人為等由来調査、水面埋立て土砂由来調査でも同じですが、2段構えの構造なんですよね。

 1段目が試料採取等区画を選定する時と、2段目が試料採取地点における試料採取時。このポイントを抑えられるかどうかです。

 にしても、この問題、前提条件が抜けているw法第3条第8項か法第4条第3項の契機の調査でしか深さの限定はできないのに・・・

 まあ、それは置いといて自然地層に係る深さの限定についての条文を見ていきましょう。法施行規則第10条の2第1項第3号です。

 最大形質変更深さより一メートルを超える深さにのみ汚染のおそれがあると認められる地層の位置があるときには、当該単位区画について試料採取等の対象としないことができることとあります。試料採取等区画の選定においては単位区画ごとに形質変更深さを見ていきます。

 この時点で自然地層に関しては、図の×を付けた所は試料採取等の対象としないことが「できる」わけです。ここで、これはあくまで「できる」規定であることに注意で、「しなければならない」訳ではありませんので。

 そして、自然地層については赤枠内のいずれかの単位区画と多分、それと最も離れている①の30m格子内(これだと①かな)で試料採取を行うこととなります。

 で、試料採取等区画が決まると、次に試料採取時に、法施行規則第10条の2第4号の規定、

 「九百メートル格子内における最大形質変更深さのうち最も深い位置の深さより一メートルを超える深さの位置にあるときは、当該土壌の採取を行わないことができる」とあります。ここで注意は、試料採取地点の形質変更深さではなく、自然地層では900m格子の最大形質変更深さプラス1mを超える土壌試料は採取しないことが「できる」ということです。これも「できる」規定なので注意が必要です。

 問題の図で行くと、自然地層に対する試料採取では、900m格子内の最大形質変更深さが4.5mなので、4.5mプラス1m、5.5mを超える深さの土壌については、試料採取しないことが「できる」訳です。

 で、問題文を見ると、いやらしいのが「誤っているものの組み合わせ」を選ぶ点。ここは、集中力を保ち、問題文をちゃんと読むということを忘れないでいきましょう。

 ということで、選択肢A、Bは正しい。Cの書き方は少し変なのですが、まず、単位区画の形質変更深さプラス1m以深にしか当該自然地層が無い場合には試料採取等の区画に選定しないことが「できる」なので、そもそもこれは外れているはずです。そして、深さの限定をフル活用した場合、試料採取等区画に選定する単位区画は、30m格子の中心を含む単位区画か、調査対象地内にある単位区画(試料採取等区画の選定時に外した単位区画は除く)となるはずです。そうなってくると別に試料採取等区画になる資格のある単位区画なら中心を含む単位区画か、はたまたどこでもよくて、ただ、実際の試料採取は、900m格子内の最大形質変更深さが基準になるのでCは誤りじゃないかと。ちょっと文面のわかりにくい選択肢ですね。

 そして、自然由来盛土でも同じで、まずは試料採取等区画の選定時、法施行規則第10条の2第3項で第3号に試料採取等区画の選定の際に最大形質変更深さプラス1mを超える深さにしか自然由来盛土等が存在しない場合、その単位区画については試料採取等区画としないことが「できる」。

 問題では、表層から自然由来盛土等が存在するので、試料採取等の対象としないことが「できる」単位区画は存在しません、ですので、Dは正しい。

 そして、試料採取等区画が決まって、今度は試料採取時に今度は30m格子の最大形質変更深さプラス1mを超える深さの土壌については採取しないことが「できます」

汚染状態が均一と見なせるときの1か所の採取は、自然由来盛土等の土壌の全ての最大形質変更深さが基準になります。

 選択肢Eでは⑥を含む30m格子の最大形質変更深さは4.5mなので、少なくとも自然由来盛土が存在するとされている2.5mまでは自然由来盛土等の試料採取の対象としなければなりません。よってEは誤り。

 ということで、正答は(5)。