第20回

 さて今回からは、平成31年の改正法施行に伴い新設された「深さを限定」した調査に関する問題です。

 対象物質が鉛及びその化合物ということで、第二種特定有害物質の試料の採取ですね。これに関しては、まず法施行規則第6条第3項第1号から。

 第二種特定有害物質の試料の採取方法は、

  • 汚染のおそれの生じた場所の位置が地表面ではない場合、その汚染のおそれが生じた場所の位置から50cmまでの土壌を採取
  • 汚染のおそれの生じた場所の位置が地表面にあるか明らかでない場合は、地表から5cmまでの土壌と5cmから50cmの土壌を採取

することになっています。さらに後者は同条項第2号の規定により、地表から5cmまでの土壌と5cmから50cmまでの土壌を同じ重量で混合することとなっています。

 問題文を見ると、鉛及びその化合物の使用していた工場を2.5m盛土して、とありますから、汚染のおそれが生じた場所の位置が、地表面と2.5mの所、計2か所にあります。

 そして、調査範囲全てが土壌汚染が存在するおそれが少ない土地に分類されるとあります。この辺、問題文をちゃんと読んで頭の中で整理することが重要です。

 ここで、法施行規則第4条第3項を復習のために見てみると、

 鉛及びその化合物などの第二種特定有害物質の一部対象区画(土壌汚染が存在するのおそれが少ないと認められる土地を含み、土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地を含まない単位区画)における試料採取等区画の選定は、法施行規則第4条第3項第2号ロの規定に基づいて行います。

 普通の調査の場合、同条項第2号ロ(1)に該当しますので、それぞれ5区画ずつが試料採取等区画に選定し、法施行規則第6条第3項第1号の規定に基づき、地表から5cmまでの土壌と5cm~50cmまでの土壌(混合して1試料)と、2.5mから3.0mまでの土壌を採取することとなりますので、試料採取等区画1か所当たり2試料、計30試料の土壌を採取することとなります。

 ただし、問題では「深さの限定をして試料数が最小となるように」となっています。

 ここで出てくるのが、法施行規則第4条第4項の規定。

 「最大形質変更深さより1mを超える深さにのみ汚染のおそれが生じた場所の位置がある場合には、当該単位区画について試料採取等の対象としないことができる」となっています。

 この問題の場合、最大形質変更深さより1mを超える深さに「のみ」汚染のおそれが生じた場所の位置がある場合には該当しないので、今回の問題のような地表と2.5mの位置に汚染のおそれが生じた場所の位置がある場合には適用できないと読めます。

 ただ、法施行規則第4条第3項第2号(2)イの規定に従い、30m格子内にある一部対象区画を5区画選定する場合、よく試料採取の例示にあるようにシンプルに十字形に試料採取等区画を設定したら、

法施行規則第6条第3項第1号の規定でもあったように、汚染のおそれが生じた場所の位置最大形質変更深さよりプラス1mを超える深さにしか汚染のおそれの生じた場所の位置が無い場合、試料を採取しないことができるとあります。

 そうなると、青○はいいのですが、赤◯の区画で2.5mから3.0mの試料は採取不要になってしまいます。

 そうなってくると、法施行規則第4条第3項第2号ロ(1)の規定(一部対象区画が6区画以上30m格子内にある場合は5つの一部対象区画を試料採取等区画に選定)に反することとなりますので、ここは、2.5~3.0mの試料採取のため、下図のように試料採取等区画を選定しなければなりません。

 

 ということは、汚染のおそれが生じた場所の位置が2.5mの単位区画については計12区画が試料採取等区画に選定することとなります。

 問題は、最小となる試料数なので、

  • 汚染のおそれが生じた場所の位置:地表面→5試料×3=15試料
  • 汚染のおそれが生じた場所の位置:2.5m→4試料+3試料+5試料=12試料

で、計27試料となります。

 ということで、正答は(2)

 

 深さを限定した調査に限らず、この試料採取等区画の選定と試料採取地点及び試料採取深さについては、もっと奥深いややこしい問題を抱えていますが、それは機会があれば触れてみたいと思います。

 多分、この問題も「法定」の試験問題として出題するにはこの程度までですかね。