第19回
さて今回も試料採取等区画の選定と試料採取地点の問題です。
個人的にはこの問題は重要だと考えています。
問題は、
- 土壌ガス調査(=対象が第一種特定有害物質)
- 土壌汚染状況調査の対象地が2つあり、それを法施行規則第5条第1項の特例で、起点を2つある土壌汚染状況調査の対象地の最北の地点に設定
- 全て一部対象区画
この場合、法施行規則第4条第3項第1号並びに第2号イの規定に従い、試料採取等区画を設定します。
そして、試料採取地点は法施行規則第6条第2項第1号で、
試料採取等区画の中心か、汚染のおそれの多いと認められる部分の任意の地点が試料採取地点になります。
ここで何気に大事な所、まず1点目。
法施行規則第4条第1項、第2項。
ここに単位区画の定義が規定されています。
まず、土壌汚染状況調査の対象地を起点をとおり東西南北に10m間隔の線を引いて区画するとあります(第1項)。そして、この「区画された土壌汚染状況調査の対象地」のことを、「単位区画」と第2項で定義しています。
これの何が大事か?というと、単位区画とは土壌汚染状況調査の対象地でない土地は含まないということです。
「んなの当たり前じゃねーの」と思うことでしょうが、ここで法施行規則第4条第3項第2号イを見て見ましょう。
30m格子の中心が調査対象地の
単位区画が土壌汚染状況調査の調査対象地の区域内(イ(1))、区域外で(イ(2))で条文が分かれていますので、30m格子については土壌汚染状況調査の対象地内外に関わらず設定されているんですよねえ。
これを知識として知っているってのは大事です。単位区画、30m格子の設定は土壌汚染状況調査の基本ですから。
これを知っているだけで、土壌汚染状況調査の対象地外に調査地点を設定している(1)~(3)は誤りってことが分かります。
なぜなら、試料採取地点は「試料採取等区画の中心」か「試料採取等区画の汚染のおそれが多い部分がある場合はその任意の地点」ですので。
ちなみに試料採取等区画とは、法施行規則第6条第1項で、
試料採取等の対象とされた単位区画と定義されています。
つまり、試料採取地点が土壌汚染状況調査の対象地外にあるのは、条文上あり得ないんでしょうね。
で、正答は(4)か(5)ということになるのですが、これが何気に大事な所の第2点目。赤点線で囲んだ部分を含む30m格子についてですが、明らかに30m格子の中心が調査対象地内にはありません。ですので、法施行規則第4条第3項第2号イ(2)に該当し、当該30m格子内にあるいずれかの一部対象区画で試料を採取することとなります。
この問題の前提は、複数の土壌汚染の状況調査の対象地が存在し、かつ、起点をそれらの土壌汚染状況調査の対象地の最も北にある点を起点として設定している調査です。
結果的に、正答は(5)なのですが、起点を統一したとしても複数の土壌汚染状況調査の対象地が存在する場合、30m格子、単位区画は、それぞれの対象地内で別個に設定するということなんですね。
これは正直、私は条文を読んだだけでは読み取れませんでした。
だけど、この試験は土壌汚染対策法の規定に基づいて行われる法定の試験です。ということは、この試験の正答というのは、環境省さんが「この解釈が正である」としているってことなんですよね。
う~ん、たまに試験問題見てみるのも勉強になりますね。