第4回

 

 さて、今回は問題を少し飛ばして令和3年度AM第6問です。問題5、問題8は土壌汚染状況調査の中の地歴調査についての問題。この問題は法第3条第1項ただし書についての問題。ついでに第7問は土壌汚染状況調査の契機になる命令の前段、法第4条第1項に基づく届出の要否に関する問題なので、順番で行くとこれらが先かなと。どちらかというと、第6問、第7問は、午後の法令等に分類されるような問題で、午後の問題が余ったからこっちに持ってきたって勘繰りたくなりますよね。

 まず今回は第6問です。こういうのは法律の条文の構成から理解するのが近道なのかな。

 法第3条第1項から。俗に、土壌汚染状況調査の一時的免除と呼ばれます。

環境省令(土壌汚染対策法施行規則)に定められた条件に合致すれば、一時的免除が受けられるという話です。

 で、その環境省令を見てみると、

 土壌汚染対策法施行規則第16条第3項の1~3号のいずれかに該当すればよいということになっています。

 ここに書かれていることを簡単に書くと、環水大土発第 1903015号平成31年3月1日「土壌汚染対策法の一部を改正する法律による改正後の土壌汚染対策法の施行について」(施行通知)記の第3の1.(4)②イの丸写しですが、

 

  1. 引き続き工場・事業場の敷地として利用される場合
  2. 小規模な工場・事業場において、事業用の建築物と工場・事業場の設置者の居住用の建築物とが同一か又は近接して設置されており、かつ、当該居住用の建築物に当該設置者が居住し続ける場合
  3. 操業中の鉱山及びその附属施設の敷地又は鉱業権の消滅後5年以内の鉱山等の敷地

ということです。 

 設問は結局、1.の要件に該当するか?というお話です。1.の要件に該当するケースが施行通知の上記の場所に例示されています。キーワードは、「一般の者が立ち入ることのない」状況であるか?です。上記通知の該当箇所で、その例示があります。


 土地の所有者の変更等、色々条件はあっても原則的に当該有害物質使用特定施設廃止後の工場や事業場以外の人が立ち入る状況にあるかないか?がキーになってきます。

 だから、新たに工場を新設して特定有害物質使用特定施設なんかを設置する予定であっても、この一時的免除は受けられるんですよねえ。

 で、選択肢をみてみると、AからCというのはいずれも工場・事業場(倉庫も)の敷地として使用されることは前提となっているため、ただし書の申請による一時的免除を受けられるということで、DとEは所有者も変わり用途も一般の人も立入出来る状況になるのでダメっていうところでしょうね。

 ということで正答は(5)。

 まあ、この制度は法制定時(今もそうかもしれませんが)にやたらめったら調査をしなくても済むように、「こーいう場合はどーなんだ?」とか事情に合わせて一時的免除を受けられる工場・事業場の条件を設定していった感があるので、厳密に言及することは難しく、私も歯切れが悪いです。考えようによっちゃ、オフィスビルも大学の敷地も立ち入るのはそれらの関係者だけってのもありますからw

 あと、一般の人が立ち入ることが出来ない場合が原則だとは書きましたが、やっぱ原則ってのは例外もある訳で・・・

 上記の通知では、

「使用が廃止された有害物質使用特定施設を設置していた工場・事業場と同じ」であれば、「関係者以外の者が敷地に立ち入ることができる」としても確認の要件に該当する。

ともされています。

 その例として、

  • 一般の者も立ち入ることができる大学の敷地について、有害物質使用特定施設である研究施設が廃止された後に、引き続き同じ大学の敷地として用いられる場合
  • 商業施設の一テナント、オフィスビルの一入居者等である有害物質使用特定施設の設置者が退出し、当該商業施設、オフィスビル等の建て替えがない場合

  • コインランドリーの敷地であって、テトラクロロエチレンを使用する洗濯機を廃止し、水洗いの洗濯機のみが残る場合

 

があり、たまに引っかけ問題で使われることがあると思います。

 ちなみに、下二つのポツの出典は、平成15年の当初法の施行直後に出された平成15年5月14日環水土発第030514001号「土壌汚染対策法第3条第1項の土壌汚染状況調査について」です。

https://www.env.go.jp/content/900540033.pdf

 

↑この通知は、古いものですがまだ生きています。

 法第3条第1項ただし書の確認の要件だけではなく、土壌汚染状況調査の根本になる「特定有害物質の使用等」の例示や、工場・事業場の敷地の範囲など、基本的なことの勉強になると思いますので、一度目を通されても損はないと思います。