第13回

 さて、今回も地歴調査の問題。

 午前の問題8。本当は問題9も一緒に扱った方がいいと思ったのですが、思いのほか長くなったので、2回に分けますw

 そもそも、地歴調査って法の条文の根拠としては、法施行規則第3条第1項の・・・

 汚染のおそれを推定するために有効な情報を把握する、と書かれているだけで、その方法についての記述って一切ないんですよね。

 ですので、ガイドラインなんかを参考にやるんですが。絶対、ガイドラインに書かれてあることが正しい、とは言い切れない場合もあるんですよねえ。現場はケースバイケースでガイドラインの記載が全ての現場で通用するとは限りませんから。

 ただ、試験問題は流石に私でも適当か不適当か、望ましいか望ましくないかって言ったら「まあそうやろうなあ」って感じの記述になっています。

 さて、問題。

 まずAは情報の入手・把握の対象となる土地の範囲。これは法施行規則第3条第1項条文にもあるとおり、土壌汚染状況調査の対象地だけでなく、その周辺の土地の情報も収集します。理由は、

  • 法第3条第8項や、法第4条第3項等の命令を契機とした調査ならば、土壌汚染状況調査の対象地は命令された範囲となるので、必ずしも工場・事業場で特定有害物質を使用等している(た)土地の範囲にはならない場合があるので。ここはガイドラインP154の図2.3.1-1が参考になります。ちなみに問題10の絵をちょっと使わせて貰って・・・

 青点線が土壌汚染状況調査の対象地である場合、いくら青点線の所のみを調べても、赤の所は、調査対象地外なので、特定有害物質の使用等の履歴なんて出てこないですよね。この「土壌汚染状況調査の対象地」ってのがどの範囲になるか?っていうのをちゃんと抑えるってこともポイントです。決して工場・事業場の敷地とイコールになる場合だけではないですから。

  • あとは自然由来や水面埋立て土砂由来の汚染のおそれがある場合、その地層の連続性なんかは周辺の土地も含めて情報を収集した方が良い

なんかが挙げられます。よって、誤り。

 Bは、基本、地歴調査は資料等調査、聴取調査、現地調査(踏査)を行った方が良いとされていて、やっぱ現地はどんな時でも見ておいた方が良いと私も思うので、これも誤り。聴取は実施するのが難しい場合もありますが、現地はありますからw

 Cは、この地歴調査も土壌汚染状況調査の一部なので。土壌汚染状況調査は指定調査機関がやることと、これは、法で定められているのでこの記述も誤り。

 Dは、ガイドラインの「戦後」って書かれてあるので。なんで戦前、戦後で線引きするのかは分かりませんが、基本は、遡れる限り遡らないとね。東京都なんて指針で戦前もやれ、みたいなことを書いています。水面埋め立て土砂なんて、公有水面埋立法埋立地の話ですから、これは大正時代のお話です。埋立地というと、江戸時代ぐらいからありますからねえ。逆に、明らかに公有水面埋立地でなくて、最近まで山林とか農地だった場合はその辺りまでしか遡らない場合もあります。この場合は、戦前から操業してるんだったら、戦前、戦後関係なく調査の対象とすべきです。よって記述は誤り。

 Eは、既存調査の話。そりゃ、前に調査をやっていたらその情報は仕入れますということでこれだけが正しい。

 よって、ABCD誤、Eだけ正、正答は(5)になります。