土壌環境基準

 土壌環境基準は、平成3年8月23日環境庁告示第46号で定められています。

ポイントとしては、

  • 土壌環境基準の項目は土壌汚染対策法の特定有害物質の項目と一致しない。(1,4‐ジオキサン)
  • カドミウム、鉛、六価クロム、砒(ひ)素、総水銀、セレン、ふっ素及びほう素については、いわゆる3倍基準がある。
  • 汚染がもっぱら自然的原因によることが明らかであると認められる場所及び原材料の堆積場、廃棄物の埋立地その他の別表の項目の欄に掲げる項目に係る物質の利用又は処分を目的として現にこれらを集積している施設に係る土壌については、適用しない。
  • 農用地に関しては、カドミウム、砒素、が設定されている。
  • 達成期間は、汚染の程度や広がり、影響の態様等に応じて可及的速やかにその達成維持に努めるものとする。

 

でしょうね。

 1,4-ジオキサンは、土壌汚染対策法の特定有害物質に追加しようと試みましたが、お手軽で有効な調査方法が無いんですよね。本当は水に溶けやすい(というか、1,4‐ジオキサンが水に溶けるのか、水が1,4-ジオキサンに溶けているのか分からないぐらい)という性質を利用して、地下水を見るのが一番だと思うのですが、「土壌汚染対策法なのに地下水で土壌汚染の有無を判断する」ってのが憚られたんですよねえ。土壌汚染対策法での土壌ガス調査でも多分見つからない。(廃棄物の不法投棄現場では土壌ガスから1,4-ジオキサンが検出されたというデータがあったみたいですが)

 実務やっている人なら地方自治体の残土条例の調査なんてタマにやったりすると思いますが、残土条例の基準のベースというのがこの土壌環境基準に設定している自治体が多いので、1,4-ジオキサンが調査項目に入っている場合があります。

 3倍基準ってのは面白い基準で、汚染土壌が地下水面から離れている場合で、かつ、地下水の環境基準を満たしている場合は、土壌環境基準の値の3倍まではOKよという奴です。「汚染土壌が地下水面から離れている」ってのを誰がどう適切に判断するんだ?ということを考えても、あまり有効性のある基準じゃないですねw

 あと、「汚染土壌」って言葉は、ここで使ってもいいと思いますが、土壌汚染対策法における「汚染土壌」とは意味が違うのでそこは注意が必要です。その辺についてはまた別項で機会があれば触れます。

 土壌環境基準には、農用地について定められているカドミウム、砒素、銅の含有量ですが、カドミウム、砒素というのは土壌汚染対策法の特定有害物質でもあり、土壌含有量というのが定められていますが、これ、分析方法が違いますので注意を。ごくたまに、残土条例調査でカドミウムと砒素の含有量の分析がされているので、この値が土壌汚染対策法の土壌含有量基準に適合している云々と言う人を見ますw

 あくまで農用地の土壌経由の健康被害を想定して作られている基準なので、直接摂取リスクの観点から定められている土壌含有量と比べられるわけありませんから。